2011年6月26日に行われたコスモス勉強会の簡易報告です。(敬称略)
1、挨拶(代表:糟谷政治)
今回は新企画、一人一言のコーナーが有ります。
鈴木先生の発表後に、一番良いのはアドバイスですが、感想・意見・質問何でも構いません。
2、各自発表
報告:被災地へ行って(小宮山ひろみ)
まず4月2日から8日間(最初は気仙沼の一番大きな避難所、あとの5日間再度気仙沼、次は石巻へ7日間、先週火曜日に一時帰り、再度石巻で4日間活動してきました。
現地ではライフラインが止まり、インフルエンザやノロウィルスが発症していました。
被災者と共に生活しながら、気仙沼市立病院・大友病院・訪問看護ステーションからの依頼・療養型病院・石巻の病院などで口腔ケアをし、10時と2時のラジオ体操時にお口の体操を取り入れてもらったりしました。
嗽が大切だと分かっていても水は無いので、原液で使用できるマウスウォッシュは役に立ちました。4回目の訪問の時は、多くが仮設住宅へ移動しており避難所の人数は2割弱程度に減っていましたが、被災住宅付近から、まだまだご遺体が発見されるような状況でした。次回は8月に訪問する予定です。
報告:気仙沼からの報告(鈴木伊予子)
6月13日から19日まで気仙沼へ行ってきました。気仙沼市民健康管理センター内に、私が参加した「JRS気仙沼巡回療養支援隊」というボランティアグループが間借りしています。歯科グループは、浜松からの私、焼津からのD・H、浜松出身で埼玉在住のドクター、藤枝から塚本さん、ドイツ在住だが実家が浜松のD・Hと、たまたま静岡出身者が集まったので「チーム静岡」と命名しました。気仙沼市立病院で3日間口腔ケアをし、ドクター・ナースと共に往診の手伝いをし、地元の歯科医師・歯科衛生士へ引き継ぎが出来たことは今後のために良かったと思います。
最後にYouTubeの動画を皆で見て、「今回の震災で2万人以上の方が被災し、まだ行方不明の方が大勢いらっしゃいます。気仙沼へ行ったら、会う人の殆どが身内や知人友人を亡くしたり行方不明という方ばかりでした。地獄を見てきたしまった皆さんが本当に頑張って生きています。今はただ被災された方々の健康と一日でも早く元気を取り戻す事、多くの幸せに恵まれる事を願っています。」と涙ながらに締めくくり、代表は勿論会場の涙を誘った。
発表Ⅰ 根上り松診療所での一年を振り返る(糟谷勇武)
一年を振り返り、思い出に残った患者を紹介。
「噛み付く」という理由で義歯を外されてペースト食だった患者の上下総義歯を修理し、好物のフライドチキンにかぶりつく様子を動画で紹介。これで元気になるといいねと話していたが、先日眠るように他界。もっと早く義歯を直して普通の食事を食べてもらっていたらもう少し長生きできたかもしれない・・・・と少し悔しい思いを残した患者。一緒にみてもらっていた石井さんがご家族から感謝の言葉をたくさん頂いたと話してくれた。
続いて一年間で最も義歯の勉強をさせてもらった患者(T・T)さんの症例。カルテ記載を元に6ヶ月に及んだ治療内容を紹介。残根上の総義歯から残根抜歯、完全な総義歯の形態へと修正していき、毎回義歯内面の調整を繰り返すも次来院時には「ちぃーと痛い」と当たりが出る状態。ポイントは「内面を調整したその日にはテストフードを食べても何ら痛みがないこと」。1ヶ月以上同じことの繰り返しのため、院長に相談したところ「咬合ではないか」とのアドバイスを貰った。「吸着」と「内面の適合」だけに着目するあまり「咬合」を見落としていたことに気づき、まずは咬合面にレジンを添加して咬合のバランスを改善させた。また、「部分床義歯」から「総義歯」へと増歯修理してきた為、「そもそもの歯列の位置が正しいとは限らない」ことに気が付き、歯列の位置を大幅に調整し、咬合および内面の調整を行った。その結果、患者に「いいみたい」と言ってもらうことができた。義歯は「義歯の吸着」・「義歯内面の適合」・「咬合」すべてが重要だと実感させられたケース。
最後に T・Tさん含め、院長にアドバイスを求めた時から得た「下顎義歯改造修理のポイント」を説明。「義歯形態のゴールをイメージする」「レトロモラーパッドを覆う」「咬合高径を確認する」「舌側の長さと厚みを確保する」「辺縁を封鎖する」「内面をリベースする」「咬合調整する」の順番で改造修理をしていく手順を紹介。特に「ゴールをイメージする」事の重要さと難易度の高さを実感した一年であった。
発表Ⅱ(療養型から病院歯科へ)三輪友香
7年間勤務した療養型を昨年12月に退職し、今年1月から磐田市立病院に勤務となり、慢性期の口腔ケアから急性期へと対象が変わりました。
500床の病院ですが口腔ケアの依頼が有った方だけに対応しており、本当に必要と思われる方にはまだまだ対応出来ていないので、現在部長と調整中です。病院の平均在院日数が11日なのですが、「口腔ケアプラン・評価表」を作成・記載し、次に担当する歯科衛生士に繋げています。現在は今までやったことのない「口腔癌」の患者さんの口腔リハを、口内炎の対応に苦慮しながら行っています。また、口腔ケアの物品をどうしていくか悩んでいます。現在使用しているのは、歯ブラシ・歯間ブラシ・スポンジブラシで吸引物品は全く使用していません。今後どのような物品体制で良いのか、今日アンケート表を持参しましたので勉強会終了までに記載をお願い致します。
一人一言
口腔ケア・リハを見て下さい(鈴木邦浩・真梨子)
患者さんは61歳の女性。発症はH17年頃で、私達が口腔ケア、口腔リハを初めて行った患者さんです。豊川保健所から「専門的な口腔ケア・マッサージ等、家族が実施できる他動運動の指導をお願いします。」と依頼を受けて関わりが始まりました。現在は多系統萎縮症のため、寝たきりの生活になっています。
・口腔リハの動画(4月時点でやっていた口腔リハ)
関わり始めて2か月が経過するころから少しずつ変化がみられました。異業種の方からも、「表情が良くなった・患者さんの言っている事が聞き取りやすくなった・痰の色が透明に近くなった。」などと報告されるようになったので、家族の希望であった「お楽しみ程度の口からの食事」を少しずつやってみましょうということになり、週に1回の訪問看護時に果汁にトロミをつけての摂食・嚥下訓練がはじまりました。
・摂食・嚥下訓練の動画
皆さんからの一人一言(抜粋)
・(S・Tから)声を出す練習、正しい呼吸の訓練
・(看護師から)座位をとらせたい。食べる時に食物の通過が良くなるし、本人の表情も変わってくると思う。マッサージを全体にすると良いと思う
・(歯科衛生士)これだけされているのが羨ましいと思いました。
・一緒に勉強させて戴きたいと思いました。
次回の勉強会は 平成23年10月2日(日) 開催を予定しています。