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オーラルケア・スタッフ・『コスモス』

リハの装具となり得る義歯の装着を!
Breast Cancer Ribbon

勉強会簡易報告

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管理者

2011年3月27日に行われたコスモス勉強会の簡易報告です。(敬称略)

 

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1、報告(糟谷政治)

 

2、各自発表

・初めての発表(梅ちゃんシスターズ)

症例相談 : 68歳・女性(脳血管障害)

嚥下障害といわれ、食事はトロミ食30度介助 上顎は前歯のみ残存し臼歯両側義歯使用、下顎は無歯顎で義歯不使用主訴;上顎前歯が下顎顎堤に食い込み傷が治らず痛みを訴える

治療 : 下顎総義歯を改造修理したが装着拒否され、上顎前歯を覆うマウスピースを作製した。しかしマウスピースは2ヶ月くらいで劣化し、傷の治りも遅い。どうしたらよいか?

田中五郎先生からのアドバイス : 『脳梗塞で下顎義歯装着せずに食べられる方に義歯を入れると、新たに食べ方を獲得しなければならないので却って邪魔に感じて拒否するのかも知れません。今現在の食べ方が出来るように下顎の粘膜面に人工歯の無いマウスピース床を装着して上顎前歯が当たるのをガードする方法はいかがでしょうか?』

・・・次回経過報告となる。

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・初参加で初めての発表 ”皆さんへの相談” (すずかけ病院 ST 加藤)

症例相談 : 90歳・女性(アルツハイマー型認知症・脳出血)

前の病院では経管から義歯無し・ペースト食摂取であった。昨年9月当病院に転院してから義歯無しで自力摂取となった為、義歯を治して食形態アップを試みた。しかし食事時間がかかるし固いものが食べられないので、カンファで食形態を元のミキサー食に戻す事に決まった。

最終目標は義歯を装着して軟菜、少なくともキザミ食と考えていたが、食事時間がかかると言う事だけで食形態のアップができなくなり残念。

皆さんからの意見
①義歯を治してすぐに食形態アップでなくもっと長い目で。
②義歯の装着練習をもっとしてから食形態アップする。
③患者さん本人とご家族の要望が無ければこのままで十分と思います。
④栄養士さんとの連携を深めたらよいと思います。
・・・など。

田中先生のコメント : プレゼンにこれが“惨敗”って書いてありましたが、決して惨敗とは思いません。我々医療者は常にチャレンジが必要ですが、現在が今のベストだと私は思います。

加藤さん

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・現在の活動報告(小宮山)

磐田市・袋井市・御前崎市・浜松市・牧之原市など多くの施設で「口腔機能維持管理加算」を算定するために5か所の施設に関わっています。

症例相談 : 80歳・男性(認知症)

3年ほど前に精神的に問題が有り、器質的な問題はなかったが食事拒否のため胃瘻を造設された。いまの施設に来てから口腔ケアを拒否せず受け入れられるようになって口腔環境が改善し、その後他の人たちの食事風景を見て口を動かしたりする行動が見られたため、スタッフが経口摂取移行を考えたが、家族は「今の状況が変化したら、前のように問題行動が起きるかもしれない」と、それ以上の介入を拒否。こんな時何をしてやれるか。

皆さんからの意見 『口の中に蜂蜜などの甘味刺激を加えたらどうでしょうか?』

小宮山さん

 

・発表から3ヶ月:その後施設の対応は?(天野先生・石井静香)

天野先生が特養へ関わって6ヶ月。そこでは前任者の仕事ぶりから歯科医療不信に陥っており、始めのうちは「何やるの? 何回で終わるの?」と警戒されていたが、この頃は事務長自ら送迎と挨拶をしてくれるようになり、名前付き専用下駄箱が用意された。また看護師からは患者さんの状況や治療の具体的な要望を伝えてくるようになった。スタッフや患者さんからも「天野先生、今度は何時来るの?」と歓迎されるようになり、その期待にこれから応えて行きたいと思っている。

石井さん・天野先生

 

・発表から6ヶ月:口腔ケアを始めてその後(可知病院 岩瀬)

院内の勉強会で歯科衛生士の仕事や口腔ケアについて発表した。同じ内容を今回の勉強会でも発表した。病院内に歯科が出来て7年、精神科の患者さんは継続的なセルフケアが難しいため、口腔内の環境は悪く、治療しても再治療になることが多い。定期的な健診を欠かさず行い、病院スタッフへは口腔ケアの重要性について知識とスキルを伝える必要を感じ、昨年から病院内で口腔ケアを開始したところ、その重要性について少しずつ認識されるようになった。

岩瀬さん

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3、特別講演 (田中五郎先生)

特別講演 「私の臨床におけるインプラントのスタンス」

田中五郎先生(横浜市開業)

インプラントの歴史・材料・術式・適応症の説明、現在のオッセオインテグレーションについての解説、田中歯科医院でのケースプレゼンテーション。

長所
①安定した咬合を保つことが可能である
②咀嚼能率の回復が可能
③審美や装着感が自分の歯に近い
④咀嚼の刺激によって骨の衰退を防止することが出来る
⑤適切なケアによって長持ちする(15年から20年はもつ)

短所
①治療期間が比較的長期になる(最低でも半年くらいかかる)
②全身疾患を有する人は適応とならない
③成功か失敗かの結果がスグに分からない(例え失敗してても結果がでるのは3~4年後)
④費用がかかる
⑤プロによる定期的メインテナンスが必要
⑥インプラントとアバットメントは同一メーカーでなければならない
⑦一生使える保証はまだ無い
⑧対合歯(義歯、有髄歯や無髄歯)との咬合について学問的に明確でない

上記のような長所・短所について詳細な説明のあと、「患者さんの事情を加味した上で、歯科医療者側の都合ではなく、確りした補綴学的診断をした上で、インプラントは選択されるべき。インプラントや義歯は補綴物の選択肢の一つにすぎず、どちらがよいかの論争はナンセンス。インプラントも歯科医師の技量による所が大きい治療なので研鑽をしていかなければならない」との言葉で講演を終了された。

(文責:糟谷)

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次回の勉強会は 平成23年6月26日(日) 開催を予定しています。

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