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オーラルケア・スタッフ・『コスモス』

リハの装具となり得る義歯の装着を!
Breast Cancer Ribbon

勉強会簡易報告

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管理者

2011年10月2日に行われたコスモス勉強会の簡易報告です。(敬称略)

 

Ⅰ、挨拶・報告など(コスモス代表:糟谷政治)

今年開催された加藤総義歯実技セミナーの報告と、加藤デンチャー(デンチャースペース義歯)の詳細な説明があった。

症例;95歳(女性)ターミナル。残存歯がすれ違い咬合、義歯無しなので残存歯が対咬の粘膜に食い込む方への対応について、どのような治療の選択肢が考えられるか受講者に問いかけたところ、

①義歯を作製
②残存歯の処置
③マウスピース作製

などの意見が寄せられた。患者さんに負担をかけず、術者の簡便な方法として(2階建てにした)マウスピースを製作し装着した症例の報告が有った。

 

Ⅱ、3月発表の患者さんのその後(梅ヶ枝・矢部先生)

3月に報告した患者さん(68歳・女性)のその後です。食事は車椅子で自力摂取の方です。上顎パーシャル(臼歯部欠損)・下顎総義歯で、上顎義歯は問題なく装着しているのですが、下顎総義歯は入れてくれませんのでバーチカルストップが無く、残存している上顎前歯で下顎の粘膜に傷を作ってしまいます。下顎総義歯は改造して吸着は問題ないのですが「イヤ」と言って自分で外してしまいます。上顎義歯を装着した状態でマウスピースを作製して、食事時は勿論寝る時以外は装着してもらっています。上顎義歯の上にマウスピースの装着も自分で行い、全く拒否はしません。以前ほど酷くは無くなったものの、体調のせいか、良くなったり悪くなったりの状況で、完治とは言えない状況です。また下顎総義歯を入れてみようと思って装着したら脱臼となり、3月に田中五郎先生からのアドバイスを頂いたとおり、義歯床のみを作製してみました。しかし自分で外してしまうので、下顎への対応は諦めました。

糟谷先生より「上顎のマウスピースの左右5・6番当たりに、私がやったように2階建てにして咬合高経の確保をしたらどうでしょうか」というアドバイスがありました。

最後に先日浜松に上陸した台風15号で、梅ヶ枝先生のテレビアンテナが壊れ、矢部先生の自宅の柳が倒れたと報告が有り、「備えあれば憂いなし」の言葉で発表を終了した。

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Ⅲ、その後の特養施設(天野先生)

前の訪問歯科医師の仕事が杜撰だったので、施設全体が歯科に対する不信感の強い所だった。歯科衛生士の石井さんと共に施設利用者の歯科治療・口腔リハをしたところ、良い結果が出た。その患者さんの新旧義歯画像と治療前後の顔写真を紹介して、徐々に施設側が協力的になったという報告が有った。

糟谷先生が、当日(大阪での研修会のため勉強会を)欠席した石井さんから、施設職員・看護師・看護師長から天野先生へのビデオレターを事前に預かっていたので、この場で披露した。何も知らない天野先生はビデオレターを見てビックリすると共に非常に喜んでいた。

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Ⅳ、前回発表の続き(勇武先生)

前回の発表は訪問と診療室での義歯治療でしたが、今回はコンポジットレジン(CR)修復についてです。最初に、患者さんは喜んでくれたものの自分では失敗例だと思うCR修復の症例をいくつか提示し、術者と患者さんが共に喜ぶには術者のスキルアップが必要で、それは義歯治療と同じであると説明した。失われた骨を床で補い、天然歯が元有ったと思われる位置に排列する義歯。失われた歯質をCRで補い、天然歯の元の構造を再現する歯冠修復。

その後、CR修復テクニックのいくつかを紹介し、今診療室で行なっているレイヤリングテクニックの成功例を数例発表した。また、色のシェードテイキングは直感に任せていることを、幾何学模様など目の錯覚についての例を提示し、分かりやすく説明した。最後に、「今後1年の目標は、”義歯を総合的に診ていく”、”義歯のゴールを更に明確にイメージする”、”CRの歯冠修復をより自然な歯に見えるよう技術を高めていく”」とで締め括った。

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Ⅴ、デンチャースペース義歯を学んで(鈴木邦治先生)

元々義歯治療には興味が有りました。従来の総義歯の本では、患者さんの目が潰されているか笑顔ではない写真が掲載されていました。4年ほど前に購入した加藤先生の『治療用義歯を応用した総義歯の』の本では、患者さんが本当に満足して喜んでいる笑顔の顔写真が沢山掲載されており、いつかこのような義歯を作製したいと思うようになりました。そして加藤先生の追っかけをし、自医院で加藤先生をお呼びして患者さん実習をして戴きました。その後、当院のラボから義歯で悩んでいる患者さんを紹介され、エイブトレー・シリンジで確りした印象を採って義歯を作製しました。セット後すぐに「こんな大きな入れ歯は入れてられない。痛くて噛めない」と言われたが、自分ではデンチャースペース義歯を作製したのに何故だろうと、今思えば勘違いだったのでしょう。糟谷先生とのメールのやりとりで患者さんへの対応策を練って改善していき、患者さんから「痛くなくず~っと入れていられる」との言葉があったので、本番義歯作製となりました。新しい義歯は患者さんにとても喜んで受け入れられ、その後高級メロンが送られてきました。

今回デンチャースペース義歯を学んで、どんな患者さんでも普遍的な義歯の形が有ることを確り理解でき、一つ一つの工程の重要性も学ぶことが出来ました。

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Ⅵ、皆さんならどうしますか(糟谷政治・松本香)

皆さんがイイ発表をするので、私の発表時間が無くなって非常に嬉しいです。今回は、77歳(女性)要介護5、胃瘻を造設して療養型へ転院となり、高次機能障害・失語症・嚥下障害(藤島グレードⅠ、嚥下反射がなかなか起こらず経口摂取は不可)、上下総義歯(上顎義歯落下・下顎義歯浮く)の方に、歯科医師・歯科衛生士はどのように対応するのかを皆さんと考えようという企画でしたが、残念ながら今日はコレで終了します。

 

次回の勉強会は、平成24年3月下旬を予定しています

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