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オーラルケア・スタッフ・『コスモス』

リハの装具となり得る義歯の装着を!
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勉強会簡易報告

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2015年7月12日に開催されたコスモス勉強会の簡易報告です。(敬称略)

(協賛)ビーンスタークスノー(水野)、T&K(中尾)からサンプル・資料提供

(1)挨拶・報告(糟谷政治)

前回(4月)開催からの出来事について

  1. 5月東京両国で開催された加藤・黒岩先生のセミナー受講画像1
  2. セミナーで有った男性D・Hの関さんが菊池さんと白梅に見学画像2
  3. 6月は各地で歯の衛生週間行事が行われますが、私も30年以上続いている幼稚園での親子染め出し実習と歯科検診画像3

    画像4

  4. 気の里で小規模多機能(つむぎの手)が新設され、その出発式に参加。愛媛から升田先生も。
  5. 気の里で加藤先生が御講演
  6. 講演翌日、加藤先生が梅ヶ枝歯科で患者さん実習。その昼食時に救急車で搬送されたが、翌日には回復。まさに不死身。画像7

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  7. 入院中、加藤先生の訪問診療の為入院先の病院へ。画像9

    2週間で退院され、既にいつもより(?)お元気に。

 

前回予告編で終わった続きをグループディスカッション

  1. 無歯顎患者さんの舌側後縁の皺と舌下線部の盛り上がり(糟谷政治)
    口腔リハが先か、義歯作製が先か、同時進行か。画像10

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  2. 咬み反射・口の開かない方(柳林愛・松本香・糟谷勇武・糟谷政治)
    開口器(亀水化学のバイトロックⅡ)の紹介とその使用方法について動 画と画像で説明。

    勇武先生が口を触らずに開口させた症例を説明

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(2)「初めてのオーラルディスキネージアの患者さん 上手くいかずに困って います。皆さんのご意見よろしくお願いします。」(鈴木邦治・真梨子)

ディープバイトで低位咬合、舌が口の中で動く(ディスキネージア)患者さんに、義歯作製と口腔リハを行ったが上手く食べられない症例を提示。参加者でグループディスカッション。

(3)「近況報告と覚醒状態を改善した症例報告」(糟谷勇武)

ご家族様からお顔の写真を使用してもよいという許可を頂きましたので、PDFファイルをアップしました。

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ここまでで、12時近くになったので、予定していた症例検討 「オーラルディスキネージアへの対応」(松本香・糟谷政治)は次回の勉強会で。

参加者からの感想・意見

  • 今回も 自分の周りのみなさんがいろいろな立場で介護等に携わっている方だったので 一つの事例にたいして いろいろな声が出てきて 勉強になりました。一つの事を多方面から見ることが大切だと改めて思いました。
  • グループワーク、楽しいですね。どうしても知っている仲間同志で席が近くなってしまうので、あらかじめ席を指定して職種、勤務先がバラけるようにしてみたらもっといろんな意見が出るのでは、と思いました。
  • 今日もディスカッション形式、面白かったです。発表するとほぼ同じ意見になるものの、 まとめる過程で色々でる意見を聞くのが勉強になります。
  • 初めて聞く話ばかりで、大変勉強になりました。皆さんでディスカッションすることで、色々な視点から問題点がみえてきたり、案が出てくるのがすごいなぁと思いました。
  • 勤めて間もない事もあり、まだまだ知識もなく意見することができませんでしたが、デ ィスカッションでみなさんのいろいろな考えを聞くことができ、勉強になりました。 最近、開口困難な方のアドバイスをしていただいたばかりですが、勉強会での情報も生かしてケアを行いたいと思いました。
  • 開口困難な患者様の対応は私もホットタオルを使い脱感作したり、マッサージしたり苦 労は多々ありますが、開口して下さった時は嬉しく心の中で「ヤッター」と思います。みなさんも同じなんですね。
  • 鈴木先生の症例に対しての勇武先生のご意見が、とても興味深く勉強になりました。同時に、精神的な面からのアプローチもとても大切だと思いました。覚醒状態を改善した症例も勉強になりました。
  • 口腔ケア時に、唾液線のマッサージや舌のマッサージなどは必要に応じ行うのですが、 筋緊張を解す様なマッサージまでは出来ていなかったので当院の患者さんにも取り入れてみたいと思いました。
  • どの内容を取っても、みなさんの意見は今後、参考になるものばかりでした。特に義歯 が先か、リハビリが先か、ということについては、常に考えさせられる問題でしたので、 いろいろな意見を聞かせて頂きありがたかったです。
  • 今日もいい刺激を頂きました。前回よりのケースディスカッションはとても楽しいで す。いろいろ、すぐに実戦に役立つ事を知ることが出来て 本当に楽しみにしています。
  • とても有意義で楽しい時間ですが、時間がもう少しあると 良いです。皆んなが ディス カッションしての意見交換の形式は大賛成です。遠くから来てくれている先生方の事を 考えると、もう少し時間があると良いかと思います。
  • 毎回とても勉強になり、頑張りたいというモチベーションを保つことができます。先生 の義歯を拝見し、やっぱり、先生の技術をなんとかもう少し取得させて頂けたら、私でも患者さんを救えるのに…と考えてしまいました。
  • 「情報を制限した中でのディスカッション」、最初は面食らいましたが、多職種がそれぞれの経験や知識を幅広くだすことができるので、楽しく(新しい視点に出会える)参加をさせて頂いております。普段の私の症例検討では、ディスキネジアや開口困難という現象をひとつの症状として捉え、そのことを深くテーマとして考えるということをしていませんでした。
  • 専門的な部分はわからない時もありましたが、施設ケアで参考になる内容が多かったの で、とても興味深く、勉強になりました。特に、開口が難しい人へのアプローチ方法を、 いつもアドバイスもらっていましたが、他のところでの取り組み方も聞けて参考になりました。他、感想としては、グループディスカッションは、とても良い経験でしたが、私のいたグループは、歯科医師の方が多くいらっしゃったこともあり、内容が専門的で、他の職種が発言ができない状況でした。ディスカッションする前に、自己紹介をしたり、発言を促す司会者的な存在がいたらいいのかな?て感じました。

次回は11月8日(日)午前9時半~ 白梅ケアホーム家族介護教室にて開催を予定しております。

勉強会簡易報告

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2015年4月5日に開催されたコスモス勉強会の簡易報告です。(敬称略)

ビーンスタークスノーの水野さん、T&Kの中尾さんから情報提供あり

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(1)挨拶・今後の勉強会について(代表:糟谷 政治)

毎年恒例の総義歯合宿が1月10・11・12日に京都で開催されました。加藤先生・黒岩先生の前で参加者全員がプレゼンをするのですが、田中五郎先生は今回、“デンチャースペース義歯を若手の先生方にどのように教えるか?”を発表され、自分の手を動かす・自分で考える事が大切とお話しされました。私達コスモス勉強会も、ただ発表を聞くだけでなく参加者全員が考える、一つの症例を皆さんで検討してディスカッションする会にして行きたいので、今日の参加者を4グループに分けました。

“症例は、舌癌オペ後の患者さん、経管→経口摂取を目指す、口腔乾燥有り、唾液は粘調性、舌は縮こまり口腔外に出ない、上下総義歯で下顎は開口すると浮き上がるという方に、口腔ケア(手技・グッズ)・口腔リハ(手技・グッズ)・義歯改造(開始時期・義歯の何処が悪いか)の検討。

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(2)超高齢化社会でこそ求められる口腔ケア ~身体のケアとこころのケア~(目黒 道生)

近年,高齢時代を迎え,認知症の人も増えています。認知症の人は,日常生活に障害があり,その維持あるいは悪化予防を重視した取組みとして生活支援やリハビリとケアを受けています。 言語表現の困難な人,高齢者や日常生活人に障害のある人は,疾患による体調の変化,あるいは急性期病院入院後の療養の場で様々な「苦しみ」「苦痛」を持っています。その苦しみや苦痛をどのように表現しているのでしょうか。言語表現のできない高齢者の苦しみや苦痛を受け取る術を私たちは持っているのでしょうか。

「身体(からだ)にふれる」リハビリやケアは,そのふれる行為によって様々な苦痛を受け取ることができます。そのため,言語表現が困難な高齢者であっても新たな関係性が生まれ関係性の苦しみを和らげることができます。このことは,急性期病院入院後にみられる認知症の人の周辺症状,あるいは高齢者のせん妄に対して看護師,歯科衛生士あるいは療法士が取組むケアやリハビリテーションが「身体のケア」を通じて「こころのケア」となるとこを意味します。ケアやリハビリは,自律性の低下を支援するだけではありません。 今回の講演では、高齢時代の最先端地域の一つである鳥取市での活動を紹介しました。「苦しみ」を緩和するという視点から多職種が連携・分担を進め,超高齢社会における役割を考える参考にして頂ければと思います。

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(3)口腔ケアをスタートさせてから4年・・・~そしてコスモスの会に感謝~(可知 久充子)

精神科の病院に「口腔ケア」を本格的にスタートさせて4年。ここまでの経過は決して順調とは言えず、紆余曲折がありました。たとえば現場スタッフと認識の差など、色々な局面にぶつかりながらですが、やるしかないとの思いで進めてきた結果を報告します。

【病院紹介】

病床数605床 職員数440名

精神科、心療内科、神経科、内科、歯科

平均年齢62才(70代以上が200人程度)と高齢化が進む

在日入院日数10年以上の長期入院も・・

【精神科患者の口腔内の特徴】

『セルフケア能力が低い』

  • 口腔内環境の劣悪化
  • 齲蝕・歯周病・口臭

『精神薬の副作用』(統合失調症・うつ・気分障害)

  • 口渇・口腔乾燥
  • 嚥下機能の低下
  • 感覚鈍麻

【歯科の役割】

週3日の診療 Dr1・DH2・助手1

診療以外は病棟回診、口腔ケアー、OT活動に参加、デイケアにて集団指導、年に数回職員全体に向けた講習会の開催、スタッフ指導、PEG交換前の口腔ケアー、静脈麻酔下での歯科治療など。

また、特徴として入院患者の定期検診を取り入れている。

【経過報告】

口腔ケアーをスタートするきっかけは、セルフケア不足で劣悪な口腔環境をどうにかしたい・・という思いから。そんな中、コスモスの会との出会いがあり、白梅ケアーホームを見学したことが私たちの原点だった。

そして、精神科病棟で口腔ケアーがスタートしかものの現場スタッフの厳しい声に直面!

どうするか???

職員の口腔ケアーに対する認識を統一させる為に

  • 全職員対象の講習会
  • スタッフの実技指導

等、積極的に頑張ってみたものの、温度差が埋まらない・・

何故ならば、精神科の口腔ケアーは他科に比べて重要度の認識が低いから。

そこで看護部との連携を図るため、2013年7月、看護師、介護士、歯科スタッフからなる口腔ケアーチームを立ち上げた。

まずはチームとしての目標を立てて気持ちを一つにし、認識調査などを行い何が足りないのか?何をしていくべきなのか?など、歯科目線ではなく現場の声を中心にケアー改善のため動き出した。

  • 職員対象の実技指導
  • 患者対象のOT活動
  • 各病棟委員が職員・患者に働きかける
  • アセスメントシート作成

認識調査の結果を開始前と1年後とで比較検討してみた。

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従来のアセスメントシートを改良して、病院統一シートが完成(全入院患者対象)。カルテにも組み込まれ、職員の間にもケアーの重要性が認識された。

チームを立ち上げた結果、大きな変化としては、

  • ケアーグッズの販売個数(例:2013年モアブラシ450本)がかなり増えた
  • そして2013、2014年と肺炎発症人数が月平均4人とケアーの成果が現れる数値となった。

病院全体に口腔ケアーの重要性、認識が高まったことから、「口腔ケアーチーム」を「口腔ケアー摂食嚥下委員会」に改名し、次のステップに向けて動きだすこととなった。

最後に糟谷先生をはじめ、コスモスの会の皆さんのお陰でここまで来ることができました。本当に有難うございました。

今後は次の目標に向かい精進していきます。

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(4)下顎義歯に於ける咬合高径推察法の現時点での検証結果 (糟谷 勇武)

総義歯症例において「上顎前歯部の長さ22mm」「下顎前歯部の長さ18mm」「上下合わせて40mm」という平均値指標が存在するが、平均値を大きく逸脱した顎骨の大きさの場合の対処法をレトロモラーパッド間距離から推測する方法を検討・実証している途中経過を報告した。

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*参加者からの感想

(1)

  • グループでの意見交換はネットワークも広がり、それぞの立場でのアセスメントがあって勉強になりました。
  • 症例検討は様々な意見を聴くことができて大変勉強になりました。電動T字棒の嚥下反応への効果など実践してみようと思います。
  • 症例検討が、おもしろかったです。他の方の考えや視点が聞け勉強になりました。
  • グループディスカッションはとても勉強になりました。色々な目で見ると、見える角度が広がって来ます。
  • 症例検討は、グループの人の声も聞こえにくいくらいイロイロな意見がでていて、気付かされたこと、参考にさせてもらえそうなことがありました。
  • 皆さんの前だと発言を迷ってしまいますが、小グループだと意見が言い易く、受け身なだけの勉強会ではないのが良かったです。

(2)

  • 目黒先生のスピリチュアルペイン、大切な視点だと思いました。
  • 目黒先生の話、今まで聴いた事がない話でとても興味深い内容でした。

(3)

  • 可知病院のDHと介護士さんの話しで、素人の見落としやすいところ指摘して、既設の病院全体が変わってくるとても素晴らしい話でした。
  • 可知記念病院の事例は、どこの病院でもあることですが、病院全体に口腔ケアの意識を普及させる難しさを再認識しました。ただ、逆に定着させてしまえばメリットも大きく院長や看護部にも評価されていたのは素晴らしかったです。

(4)

  • 勇武先生の云う、レトロモーラーパッド間距離による咬合高径の適正値予測は非常に関心を持って伺いました。またあらためてX-1194という模型を見ました。
  • 勇武先生の研究、いつも面白いですね。柔軟な発想と展開が素晴らしいです。

次回は7月12日(日)午前9時半~ 白梅ケアホーム家族介護教室にて開催を予定しております。