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オーラルケア・スタッフ・『コスモス』

リハの装具となり得る義歯の装着を!
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勉強会簡易報告

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2012年4月22日に行われたコスモス勉強会の簡易報告です。(敬称略)

勉強会開催前に、ビーンスノークスターとT&Kから製品案内が有った。

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Ⅰ、挨拶・報告など(コスモス代表:糟谷政治)

年始恒例の総義歯合宿が、今年は京都で開催された。

今年のテーマとして決めていたことは
1)“デンチャースペース義歯の理論をどう理解させるか”
2)“摂食嚥下障害への義歯の有用性”
だったが、日本歯科評論3月号でKi教授が“運動障害で噛めない人には義歯を入れなくても良い”とか、“往診先では義歯を入れない・義歯を作らない宣言を沢山している”と記述してあったことに憤慨していることを話し、参加しているS・Tに「義歯が無ければ発音できないのでは?」と意見を求めた。
また、義歯の役割は咀嚼だけでなく社会性(審美)への影響が大きいことも再認識していきたいとし、義歯なしの寂しそうな顔が義歯を入れたら笑顔が出たケースを紹介した。

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Ⅱ、研修会報告(竹下紀子・石井静香)

今年の1月29日(日)南風で、歯科医師・歯科衛生士・看護師22名を対象に開催した口腔リハ研修会の報告です。

黒岩先生が考案された麻痺や口腔乾燥の体験実習での口腔ケアと、麻痺や口腔乾燥の状況で業者さんから提供された宅配弁当(介護食)を試食してみました。宅配弁当(介護食)の会社は“安全な食事”と宣伝しているものの、実際は見た目が綺麗なだけで、とろみを付けているわけでもなく、ただ小さく刻んであって食べにくいものでした。この研修会に参加された管理栄養士の資格を持つ歯科医師は、「この献立を考えた栄養士・調理師は許せません」と言っていました。この宅配弁当について参加者からアンケートをとり、それを業者に伝えたところ、「今後利用者さんに優しい食事にするよう検討します」と1回のみ返事が有りましたが、その後の進展は有りません。この研修を受けた天野先生がケアマネさんに働きかけ、ケアマネさん対象にこの麻痺体験実習研修会を開催するよう進めている所ですと報告が有った。

代表からのコメント;冒頭で話したように、加藤デンチャーを広めていきたいと思っていますが、この体験実習研修会も今後広めて行きたいと思っています。

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Ⅲ、近況報告と訪問診療に使えそうなテクニック(糟谷勇武)

前回の勉強会(10月)から半年が経ち、その間に横浜で開催された加藤塾において “まだ半人前”の演題で邦治先生と二人で発表したので、加藤先生からは「四分の一君」と呼ばれています。

1 、アプリ編
忘年会の席で「来年はスマートフォンのアプリ開発をします」と宣言してしまいましたので開発環境を整えたのですが、実はあまり進展しておりません。その場で嚥下音を2~3千円程度の咽頭マイクで波形をひろって確認できるものを考慮中です。

2 、義歯編
数か月前に袋井市の療養型病院で嚥下障害患者さんの上下総義歯の修理をしました。舌の挙上困難な患者さんだったので口蓋にレジンを足したところ、病院のS・Tから「K教授より“上顎臼歯部歯頚部口蓋側を削除した方が良い”と言われたのですが」と言われた。しかしそれは理論的でないと思います。逆に盛り足した方がムセが少なくなり、効果が見られた。
その2ヶ月後に訪問したら、S・Tが「口蓋に残渣が見られるので、K教授が“遁路を作った方が良い”と言っていました」と言ってきたので、今度も逆に、削除するのではなくレジンを盛り足してみました。その結果、食渣は無くなりました。上顎前歯部口蓋側から後方に滑り台のような形態のPAPも“有り”なのではと思いました。
次回の勉強会ではVF画像と共に詳細を話す予定です。

3 CR編
訪問診療で、即日CRインレー修復と即日CRジャケットの歯冠修復をしたケースをスライドで発表した。即日CRジャケットは破折した上顎2番を麻抜即充→レジンコアを築成→印象→模型作製→CRジャケット作製→口腔内に装着。模型作製の時間短縮のためFEEDで購入した30秒で硬化する材料の紹介をした。

代表からのコメント;その隣で他の患者さんの義歯改造をしていたので、どのようにCR治療を進めていたのか、今日初めて理解出来た。

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Ⅳ、維持管理加算について(松本香)

 今回の介護保険改正で「口腔機能維持管理加算
が新たに認められ、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が月に4回の口腔ケアを実施すると110単位が算定できる。療養型で実際に算定している状況と、その文書について詳細な報告がなされた。

代表からのコメント;施設勤務の歯科衛生士が単独で堂々と算定できるモノなので、厚労省で定められた文書以外は出来るだけ簡便に、歯科衛生士の文書記載が大変にならないよう、これから皆さんで考えて戴き情報交換をしていってもらいたいものです。

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Ⅴ、TV放映その後と気の里訪問(糟谷政治)

昨年11月にNHKニュース番組「おはよう日本で白梅と私の訪問診療が放映されました。6時15分と早朝の放映時間にもかかわらず観ていた人はいたようで、4件ほど連絡があり、そのうち来院された2名の症例報告が有った。
1 、75歳(男性):TVを観て電話で予約し来院。8年ほど前、妻の実家の歯科医院で上下総義歯を作製したが、緩くて落ちるので装着時から義歯安定剤を使用している。上顎ひどいフラビーガム・下顎まっ平らだが、加藤先生のデンチャースペース義歯を作製し、テストフードの煎餅を無理なく食べられた。
2 、85歳(女性):上下総義歯をいくつも作製したが合わない。最近もD・Hの資格のあるケアマネより「お母さんの顎では無理」と言われたが、入れ歯を入れて何でも食べて貰いたいと思っていて、TVを観て連絡先をNHKのブログから探しあてて来院した。
上下顎顎堤吸収、その上ディスキネージアの有る方だが、デンチャースペース義歯を作製し、テストフード(煎餅)を食べるところを動画で、装着その後の元気になった顔がスライドで提示された。

今回、気の里訪問の報告をする予定でしたが、時間が無くなってしまいました。来月再度訪問するので、今回の報告と一緒に次回報告します。

次回は7月22日(日)午前10時~ を予定しています。

勉強会簡易報告

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2011年10月2日に行われたコスモス勉強会の簡易報告です。(敬称略)

 

Ⅰ、挨拶・報告など(コスモス代表:糟谷政治)

今年開催された加藤総義歯実技セミナーの報告と、加藤デンチャー(デンチャースペース義歯)の詳細な説明があった。

症例;95歳(女性)ターミナル。残存歯がすれ違い咬合、義歯無しなので残存歯が対咬の粘膜に食い込む方への対応について、どのような治療の選択肢が考えられるか受講者に問いかけたところ、

①義歯を作製
②残存歯の処置
③マウスピース作製

などの意見が寄せられた。患者さんに負担をかけず、術者の簡便な方法として(2階建てにした)マウスピースを製作し装着した症例の報告が有った。

 

Ⅱ、3月発表の患者さんのその後(梅ヶ枝・矢部先生)

3月に報告した患者さん(68歳・女性)のその後です。食事は車椅子で自力摂取の方です。上顎パーシャル(臼歯部欠損)・下顎総義歯で、上顎義歯は問題なく装着しているのですが、下顎総義歯は入れてくれませんのでバーチカルストップが無く、残存している上顎前歯で下顎の粘膜に傷を作ってしまいます。下顎総義歯は改造して吸着は問題ないのですが「イヤ」と言って自分で外してしまいます。上顎義歯を装着した状態でマウスピースを作製して、食事時は勿論寝る時以外は装着してもらっています。上顎義歯の上にマウスピースの装着も自分で行い、全く拒否はしません。以前ほど酷くは無くなったものの、体調のせいか、良くなったり悪くなったりの状況で、完治とは言えない状況です。また下顎総義歯を入れてみようと思って装着したら脱臼となり、3月に田中五郎先生からのアドバイスを頂いたとおり、義歯床のみを作製してみました。しかし自分で外してしまうので、下顎への対応は諦めました。

糟谷先生より「上顎のマウスピースの左右5・6番当たりに、私がやったように2階建てにして咬合高経の確保をしたらどうでしょうか」というアドバイスがありました。

最後に先日浜松に上陸した台風15号で、梅ヶ枝先生のテレビアンテナが壊れ、矢部先生の自宅の柳が倒れたと報告が有り、「備えあれば憂いなし」の言葉で発表を終了した。

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Ⅲ、その後の特養施設(天野先生)

前の訪問歯科医師の仕事が杜撰だったので、施設全体が歯科に対する不信感の強い所だった。歯科衛生士の石井さんと共に施設利用者の歯科治療・口腔リハをしたところ、良い結果が出た。その患者さんの新旧義歯画像と治療前後の顔写真を紹介して、徐々に施設側が協力的になったという報告が有った。

糟谷先生が、当日(大阪での研修会のため勉強会を)欠席した石井さんから、施設職員・看護師・看護師長から天野先生へのビデオレターを事前に預かっていたので、この場で披露した。何も知らない天野先生はビデオレターを見てビックリすると共に非常に喜んでいた。

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Ⅳ、前回発表の続き(勇武先生)

前回の発表は訪問と診療室での義歯治療でしたが、今回はコンポジットレジン(CR)修復についてです。最初に、患者さんは喜んでくれたものの自分では失敗例だと思うCR修復の症例をいくつか提示し、術者と患者さんが共に喜ぶには術者のスキルアップが必要で、それは義歯治療と同じであると説明した。失われた骨を床で補い、天然歯が元有ったと思われる位置に排列する義歯。失われた歯質をCRで補い、天然歯の元の構造を再現する歯冠修復。

その後、CR修復テクニックのいくつかを紹介し、今診療室で行なっているレイヤリングテクニックの成功例を数例発表した。また、色のシェードテイキングは直感に任せていることを、幾何学模様など目の錯覚についての例を提示し、分かりやすく説明した。最後に、「今後1年の目標は、”義歯を総合的に診ていく”、”義歯のゴールを更に明確にイメージする”、”CRの歯冠修復をより自然な歯に見えるよう技術を高めていく”」とで締め括った。

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Ⅴ、デンチャースペース義歯を学んで(鈴木邦治先生)

元々義歯治療には興味が有りました。従来の総義歯の本では、患者さんの目が潰されているか笑顔ではない写真が掲載されていました。4年ほど前に購入した加藤先生の『治療用義歯を応用した総義歯の』の本では、患者さんが本当に満足して喜んでいる笑顔の顔写真が沢山掲載されており、いつかこのような義歯を作製したいと思うようになりました。そして加藤先生の追っかけをし、自医院で加藤先生をお呼びして患者さん実習をして戴きました。その後、当院のラボから義歯で悩んでいる患者さんを紹介され、エイブトレー・シリンジで確りした印象を採って義歯を作製しました。セット後すぐに「こんな大きな入れ歯は入れてられない。痛くて噛めない」と言われたが、自分ではデンチャースペース義歯を作製したのに何故だろうと、今思えば勘違いだったのでしょう。糟谷先生とのメールのやりとりで患者さんへの対応策を練って改善していき、患者さんから「痛くなくず~っと入れていられる」との言葉があったので、本番義歯作製となりました。新しい義歯は患者さんにとても喜んで受け入れられ、その後高級メロンが送られてきました。

今回デンチャースペース義歯を学んで、どんな患者さんでも普遍的な義歯の形が有ることを確り理解でき、一つ一つの工程の重要性も学ぶことが出来ました。

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Ⅵ、皆さんならどうしますか(糟谷政治・松本香)

皆さんがイイ発表をするので、私の発表時間が無くなって非常に嬉しいです。今回は、77歳(女性)要介護5、胃瘻を造設して療養型へ転院となり、高次機能障害・失語症・嚥下障害(藤島グレードⅠ、嚥下反射がなかなか起こらず経口摂取は不可)、上下総義歯(上顎義歯落下・下顎義歯浮く)の方に、歯科医師・歯科衛生士はどのように対応するのかを皆さんと考えようという企画でしたが、残念ながら今日はコレで終了します。

 

次回の勉強会は、平成24年3月下旬を予定しています